第96信（続き）
山道も、本通りは、やや広くなって居りますが、大部分がジャングルの中を、前人の跡を追って歩く様なものです。道かと思えば谷川となり、川かと思えば高い山を一廻りして、又その川のほとりへ出るという状態です。ビルマ人にしても、カレン人にしても、裸足で歩く故、川などは何とも思っていないが、我々兵隊は靴又は地下足袋をはいているので、水に濡れると皮が硬くなり、足が疲れるので、なるべく水に濡らさぬようにピョンピョンと飛び石伝いに歩くので、気疲れと共に大変なことです。お陰で、杖の有り難さが判りました。
カレン人の家は、大抵、山の中腹にあります。奥山へ這入れば、それこそ、竹の屋根に竹の柱、竹の壁、竹の床、全部が竹づくめです。それですから、大きな竹藪の近くに住みます。
1944/04/02発信、06/10着信