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戦地からの便り 小田桐正一  032 人の話 2

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宛名 通信文

第9信
  第2、第3の国共、僧侶の権力が絶大なものであって、例えば、こちらでお辞儀をしても絶対に頭を下げません。無慾恬淡【メモ】としている点は良いが、その代わり、積極性が全然ありません。
  泰人も安南人同様、ビンロージュの実をしがんで、赤い唾を吐きますが、今では、禁止されています。此処も、女の良く働く処で、且、バクチが良く行われています。
  第4の国は素通りだったので、余りよくは分かりませんが、マレー人が、トルコ帽を冠り、ロンギと称する、腰巻きの様な布をズボン代わりにスカートの様にはき、背広の上着を着ています。(終り)

1942/8/25着信
【メモ】恬淡 てんたん  あっさりしていて物事に執着しないこと。心やすらかで欲のないこと。また、そのさま。(日本国語大辞典)

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