第30信
捕虜の話（続き）
之等が或地点へ降ろされて、ドラム缶運びや苦力に使われるのを見て、土民達は、今迄圧迫していた彼等が、日本軍の為に捕虜となり、而も土民達の前で働かされているのは痛快だと大喜び。我が皇軍の戦捷を如実に再認識していた。
又、我々の兵隊の内の、船に弱いものが云うのに、「船に乗れば直ぐに、酔って、胸がムカムカするが、唯一つ、胸のスクことがある。英米人だと云って威張っていた彼等が、捕虜となり、定量与えられた食事でも、とても不十分で、日本兵の残飯、残菜を我勝ちに奪い合う姿を見ると、之が英米かと思い、胸がすく」 と。蓋（けだし まさしく）、言い得て妙。（終り）
1942/11/22着信