第56信（続き）
上手に歩いて行く。手に持つより頭に載せる方が、3倍も力があると新聞に出ていたが、此点、彼女らは合理的である。併し、歩き振りに少しも女らしい優しさがない。それから、我々なれば手に持つ方が気楽で安全なと思われる様な、唯1個の丼茶碗迄、頭に載せて目をやや上目使いにして歩いているのは全く解せない心理だ。
かく見てくると、彼女等は相当の物臭さに思われるが、その実、バザー（市場のこと）を覗くと、売買している人間の99パーセントまでが女であるから、よく働くものと言わなければならない。寧ろ、男は、それらの中を素見してブラブラしている丈である。
以上は、町で見た中流及それ以下の、ビルマ人の姿態である。絵の代わりに文を以て現わして見た処。今迄新聞等に出ていた写真等を思い出してご想像下さい。（終り）
1943/05/21着信