第79信
高潮の話は、以上迄として、次は
枯木に花の咲いた話。
我々は、今度、任務の都合上、新しい場所に、新しい家を建てました。我々は、椰子の木を切って柱にしたり、竹を柱にした家を今迄2度許り建てましたが、雨期に会うと、腐食して駄目になる。一度などは、今迄居た家のネダ（根太）が腐食して折れて床がつぶれたことがある。そこで、今度は、木の柱にしたのである。しかし屋根は相変わらず、ニッパ椰子の葉でこしらえたものです。
処で、此の柱ですが、内地の様に製材した角材ではない。山から切って、筏に組んで、川を流して来たものである。丸太の儘で、皮もつき、泥も付いている。こんな柱を30本程も使ったものであるが、建ててから数日経ってみると、その内の2本から、緑の新芽が3、4個出ているのには驚いた。（続く）
1943/09/30発信